*mRNA発現解析検査とは?
更新を怠って久しいのですが、お陰様で無事に生きております(@_@;)
突然ですが、最近興味のある事を載せます
≪作成途中の文書です≫
次世代型バイオマーカーとしてのmRNA発現解析検査
〜解析方法と可能性に関して〜
〜RCTからpersonalized evidenceへ〜
≪本文より抜粋≫
mRNA検査で得られる情報が予防医療の可及的速やかな本格的導入を迫られている我が国の医療が「個別化された予防介入プログラム」を策定する上で非常に有効で重要な“武器”となり得るという事なのです。
個別化医療の必要性が叫ばれる中、mRNA発現解析検査によって、今まさに時代はRCTから“personalized evidence”へと移行しようとしているのです。
【はじめに】
私たちが耳にする「遺伝子検査」とは、その殆どがDNA(デオキシリボ核酸:Deoxyribo Nucleic Acid)の検査を指しています。
二重らせん構造のDNAは生命の設計図として、ヒトはヒトの身体を作るための“設計図”を、鳥は鳥の身体を作るための“設計図”をそれぞれ両親からもらって生まれてきます。私たち人間も含めて、生物はそれぞれに異なる“設計図”に基づいてつくられているのです。
通常、DNAは私たちの身体を作る約60兆個、260種類の細胞一つひとつにある“核”と呼ばれる「場所」に“ヒストン”と呼ばれる円板型のタンパク質に巻き付いた形で格納されてます。
DNAの中には筋肉、毛髪、皮膚、骨、爪、ヘモグロビン、消化酵素という様々なものをつくる情報が書き込まれており、その微細な差異が髪の毛や目の色、身体の大きさ、皮膚の色と言った外見はもちろん、酒の強さや身体能力をも含んだ“個人差”となって現れるのです。
しかし、DNAを格納する細胞の殆どは、一般的には“新陳代謝”と呼ばれる一定期間ごとに古い細胞が新しい細胞へと入れ替わる生命活動を繰り返します。
胃や腸の表面を覆っている消化管上皮細胞は24時間、赤血球は約3ヶ月、骨の細胞は通常10年ほどの寿命があります。
この細胞の入れ替わりの際に細胞が分裂するのですが、そのたびにDNAが複製されて、新しく生まれた一つひとつの細胞に伝達されていくのです。
このDNAの複製には“DNAポリメラーゼ”が重要な役割を果たしており、細胞内でDNAの二重らせんをほどき、この2本に分けられたDNAの“ひも”1本ずつが以前、対をなしていたのと同様の物質を引き寄せて再び二重らせん構造のDNA、“2本”となります。これは、まるで□が凹凸の二つの型に分解され、新たに、双方に適合する凸、凹のそれぞれの型が組み合わさって再び、□になるようものです。(本来は、もっと複雑なプロセスを経ますが)
そして、これで分裂と複製のプロセスが完了し、結果的に全く同じ細胞が二つ出来るのです。
以上の説明でもお解りのようにDNAが持っている情報は基本的には一生涯変わりませんから、DNAを対象とした“遺伝子検査”は、一般的には人生で一度受ければ良いという事になります。
また、“設計図”の書き換えによる遺伝子治療は倫理的、また技術的問題があり、現時点では完全には実用化されていないというのが現実で、iPS細胞、並びに周辺領域などの更なる研究に期待が寄せられているのです。
【mRNA発現解析とは】
では、“mRNA発現解析”とは、いったい何なのでしょうか?
既に述べた通り、DNAには“設計図”が格納されています。私たちの身体は、この“設計図”に従ってタンパク質を合成し続けることによって生命を維持しています。
ところが、DNAは、そのままタンパク質の合成に使われるのではなく、そのコピーが使われるのです。コピーを行うのがRNA(リボ核酸:Ribo Nucleic Acid)の重要な役割の一つなのです。この時、DNAの分裂と異なって“RNAポリメラーゼ”が重要な役割を担っています。
“RNAポリメラーゼ”の内部においても、DNAの二重らせんは、ほどかれますが、ほどかれた1本の“ヒモ”の情報がRNAによってコピー(厳密にはペアとなる側の情報として写し取られる)された後、再び、DNAは二重らせんへと戻されるのです。
その後、DNAの情報を写し取ったRNAは「スプライソソーム」と呼ばれる“装置”(タンパク質とRNAからなる)の中で使用しない部分の切り取り(スプライシング)が行われ、様々なタンパク質の設計図として使用できる“切り貼り”パターンとなるのです。
この“切り貼り”パターンのRNAは「mRNA(messenger RNA:伝令RNA)」と呼ばれ、この情報を基に「リボゾーム」と呼ばれる細胞核外の“合成工場”でタンパク質が合成されるのです。
この一連の過程を“発現”、“遺伝子発現”と呼びます。(発現とは、遺伝子発現ともいい、遺伝子の情報が細胞における構造および機能に変換される過程をいう。具体的には、普通は遺伝情報に基づいてタンパク質が合成されることを指すが、RNAとして機能する遺伝子・ノンコーディングRNAに関してはRNAの合成が発現ということになる。また発現される量:発現量のことを発現ということもある。)
当然、この“遺伝子発現”によって合成されるタンパク質の中には自己免疫系全般や長寿遺伝子とも呼ばれるSIRT1遺伝子も含まれています。
通常、生命の維持に必要なタンパク質が必要に応じて、一連の過程によって合成されますが、外的な要因、例えば、喫煙や飲酒、化学物質などの影響は勿論、心因性のストレスによっても正常な合成が妨げられることがあるのです。
その結果、ゲノムレベルの“僅かな変異”が遺伝子発現の際に生じ、その“僅かな変異”の長年に亘る蓄積が糖尿病、高血圧、がんなどの“病気”という形で現れるのです。
【新しいバイオマーカーとしての可能性】
そこで、このゲノムレベルの“僅かな変異”を新しいバイオマーカーとして活用し、オンタイムのより正確な「個別」の生体情報を得ることが可能となる、「mRNA発現解析検査」の提供を始めました。
この検査の可能性は単に“病気”の予兆をとらえて適切な予防法を提供するだけに止まらず、薬剤やサプリメントの効果、効能を個別(個人)のゲノムレベルで確認することが可能となるのです。
現在、薬剤の医薬品や食品の効果効能は、個人ではなく集団で評価した(実験的な)臨床試験や(観察研究である)疫学研究を経て、はじめてエビデンスとなりますが、必ず個体差、例外が存在します。
しかし、mRNA発現解析検査を使えば、個体差に関係なく効果、効能の確認が理論的に可能となるのです。
しかも、本検査を用いて同一の個体を数年に亘って追跡調査することによって得られるデータは疫学的研究対象として非常に重要な意味を持ち、総務省と厚生労働省が2014年度から、ビッグデータを活用して病気の予防に役立てる医療システム作り(数百万人分の健康診断結果や日々の運動量などをまとめて統計処理し、生活習慣と病気の関係を予測して一人ひとりに適切な健康指導をする。少子高齢化で医療費の膨張が問題になるなか、新たな予防医療の導入で病気にかかりにくくする取り組み)にも、DNAから得られる情報と組み合わせる事によって、より立体的で多層的なマトリックスを構築する上で専門家からも大きな期待を寄せられているのです。
【まとめ】
mRNA検査で得られる情報が予防医療の可及的速やかな本格的導入を迫られている我が国の医療が「個別化された予防介入プログラム」を策定する上で非常に有効で重要な“武器”となり得るという事なのです。
個別化医療の必要性が叫ばれる中、mRNA発現解析検査によって、今まさに時代はRCTから“personalized evidence”へと移行しようとしているのです。
この様に大きな可能性をもった次世代バイオマーカーとしてのmRNA発現解析検査”は使い方一つで多様な可能性を私たちに与えてくれるのです。